消費税8%、見積書作成、書き方の注意点
今後の消費税の増税(税率の引き上げ)は、以下の日程により二段階で行われることとなります。
平成26年(2014年)4月1日以後 |
8% |
平成27年(2015年)10月1日以後 |
10% |
これにより、増税日をまたいで見積書を作成しなければならないような場合には、消費税を5%として見積書を作成すればいいのか、8%の見積りを作成すべきなのかという問題が生じます。
まず、原則的にその取引きにかかる消費税率が何%になるのか、その規定を具体的に見てみましょう。
原則的には「引渡し基準」が適用され、以下の日付が「平成26年(2014年)4月1日以後」であれば8%、「平成27年(2015年)10月1日以後」であれば10%で見積もることになります。
資産の譲渡 |
資産の引渡し日 |
資産の貸付け |
契約や慣習による
売上げの支払を受けるべき日 |
役務の提供 |
目的物引渡しがある場合は、その引渡し日
目的物引渡しがない場合は、その役務提供が完了する日
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見積書の作成日や契約日が「平成26年(2014年)4月1日以前」または、「平成27年(2015年)10月1日以前」であっても、上記の日付がそれらの日以後である取引きについては、それぞれ8%、10%の消費税率で見積書を作成しなければならないということになります。
ですので、資産の引渡し日などが未定である場合には、見積書にはその旨を記載し、場合によっては増税前後の金額を記載しなければならないようなこともあるかもしれません。
ただし、資産の貸付けについては「契約や慣習による売上げの支払を受けるべき日」となっている点に注意してください。
具体的には、仮に資産の貸付け期間が1ヶ月だったとしましょう。
その貸付け期間の途中で「平成26年(2014年)4月1日」または、「平成27年(2015年)10月1日」を迎えた場合には、取引きの当事者双方の「契約や慣習により」増税前の旧税率、又は増税後の新税率のどちらかを用いていいこととなりますので、その金額で見積りを出すということになります。
ただし、この規定は「資産の貸付け」のみに適用される規定です。「資産の譲渡」と「役務の提供」には適用はありません。
→詳しくはこちら「消費税増税と契約(施行日をまたぐ場合)の注意点」
それから、見積書を出す際に、競合他社との差をつけるため、増税分を自社で負担することを自社の宣伝等に使う行為は「消費税円滑化法」によって禁止されています。
違反すると、最高で50万円の罰金が科される可能性がありますので見積書等の文言にはご注意下さい。
→詳しくはこちら「消費税転嫁円滑化法とは?」
特に、価格を消費税増税前から据え置く際に注意が必要です。
仮に、価格を増税前と後とで52,500円のまま変更しない場合は、「52,500円(税込)」との表記のみに留めるのがいいでしょう。
価格を据え置いた場合には、当然ながら本体価格と消費税額との内訳が、増税前とは変わってきます。
もし本体価格や消費税額まで、内訳を詳細に表示する必要がある場合には、こちらの計算方法をご活用下さい。
→「消費税8%、価格の計算方法」
【関連ページ】
◆ 消費税増税、課税はいつから?
◆ 消費税増税後の表示方法は?
◆ 消費税増税と契約(施行日をまたぐ場合)の注意点は?
◆ 消費税転嫁円滑化法とは?
◆ 消費税8%、価格の計算方法は?
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